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脳循環自動調節能=血圧変動に対し脳血流を一定に保とうとする機構

脳血流自動調節能(autoregulation)とは全身血圧の変動に影響されずに脳が一定の循環を保とうとする働きで、平均(動脈)血圧約60~150mmHgの間では脳の細小動脈を自動的に拡張ないし収縮させて、一定の脳血流量を維持します。
この調節閾の上限を全身血圧が超えると、脳血流量が一気に増えて血液脳関門が破綻し、脳浮腫や脳出血を起こします。従って、慢性高血圧の患者は、このような破綻を防ぐために細小動脈の壁が肥厚して内腔が狭小化し(リモデリング)、上限の閾値をより高め、自動調節域を右方に偏位させます。

血圧 22(8): 588-592, 2015より引用
脳と循環 5(3): 227-231, 2000より引用

慢性高血圧以外にも、加齢によっても自動調節能は高血圧側へ(右方へ)シフトします。

脳血管障害では自動調節能が障害される

脳梗塞急性期ではautoregulationが破綻するため、血圧依存性に脳血流は変動します。

ブレインナーシング 32(7): 675-678, 2016より引用
血圧 22(8): 588-592, 2015より引用

高炭酸ガス血症(=血管拡張状態)でも自動調節能の範囲は狭くなります。

投稿者

古田 夏海

群馬県高崎市「ふるた内科脳神経内科クリニック」で脳神経内科・内科の診療を行っています。

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