目次
🩺 女性ホルモンと頭痛の関係
〜月経・ピル・更年期で頭痛が起こる理由〜
女性の頭痛(特に片頭痛)は、女性ホルモンの変化と深く関係しています。
思春期・月経・妊娠・更年期など、ホルモンの波がある時期に頭痛が起こりやすくなるのです。
特に「エストロゲン」というホルモンが減ると、血管が広がりやすくなり、片頭痛が誘発されることがあります。
🌸 月経の前後に頭痛が出るのはなぜ?
「生理のたびに頭が痛くなる」という方、多いですよね。
これは月経関連片頭痛やPMS(月経前症候群)による頭痛の可能性があります。
- 月経前のエストロゲン急低下
- PMSによる自律神経の乱れ
- 貧血や睡眠不足の影響
などが重なって、頭痛が出やすくなります。
治療や対策としては、ホルモンの波を安定させる 低用量ピル(経口避妊薬)や、 PMS症状に対してはSSRI(抗うつ薬)や漢方薬が有効な場合もあります。
💊 ピルで頭痛は悪化する?それとも軽くなる?
ピルを飲み始めたばかりの時期は、体がホルモン変化に慣れていないため、 一時的に頭痛が出ることがあります。
ただし、多くの方は継続するうちに落ち着き、
月経周期が整うことで頭痛が軽くなるケースが多いです。
一方で、注意が必要なタイプの頭痛もあります。
⚠️ 「前兆のある片頭痛」の方はピルに注意!
片頭痛には、頭痛の前に「キラキラ光る」「視界が欠ける」などの 前兆(オーラ)が出るタイプがあります。
この「前兆のある片頭痛」の方は、エストロゲンを含むピルの使用は原則禁止(禁忌)です。
血栓(血のかたまり)ができやすくなり、脳梗塞などのリスクが上がるためです。
✅ 前兆あり → ピルは使わない
✅ 前兆なし → 医師と相談しながら慎重に使用
また、次のような条件がある方もピル使用には注意が必要です:
- 喫煙(1日15本以上)
- 高血圧・糖尿病・高脂血症
- BMI30以上の肥満
- 35歳以上
- 脳・心臓の血管病の既往
🌙 更年期と頭痛
50歳前後になると、女性ホルモン(エストロゲン)が急に減少します。
そのため、ほてり・気分の落ち込み・めまいに加えて、頭痛が出ることがあります。
更年期症状に対してはホルモン補充療法(HRT)が効果的ですが、頭痛の悪化リスクもあり
前兆のある片頭痛をお持ちの方では脳梗塞のリスクが上がるため、慎重に検討が必要です。
片頭痛は完全に閉経した老年期では軽快傾向になり60-70歳代の片頭痛有病率は2-8%とされます。
ただし更年期はエストロゲン分泌の変動が大きく片頭痛が悪化しやすいです。
日本人の更年期症状は欧米人と比較して肩こりの割合が多いことが特徴です。閉経後は片頭痛が改善するのに対し、緊張型頭痛は70%で不変ないし悪化することが知られています。また、更年期障害の診断はあくまで除外診断のうえに成り立つもので、二次性頭痛の除外が必要です。
🌷 まとめ
状況 | ホルモンの変化 | 対応のポイント |
---|---|---|
月経前後 | エストロゲン低下 | ピルや漢方で周期を安定させる |
PMS(月経前症候群) | 自律神経の乱れ | SSRI・生活リズム改善 |
ピル使用初期 | ホルモン変化に体が慣れていない | 継続で改善することが多い |
前兆のある片頭痛 | 血栓リスク増加 | エストロゲン含有ピルは禁忌 |
更年期 | ホルモン急低下 | HRTは慎重に、医師と相談 |
💬 医師からのひとこと
女性の頭痛は「気のせい」ではなく、ホルモンの変動という明確な原因がある場合が多いです。
婦人科と頭痛外来が連携して診ることで、生活の質(QOL)を大きく改善できるケースもあります。
「生理のたびに頭が痛くなる」「ピルを飲んでから頭痛が増えた」
そんなときは、我慢せずぜひご相談ください。