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COMT阻害薬(カテコール-O-メチルトランスフェラーゼ阻害薬)とは?
COMT阻害薬は、カテコール-O-メチルトランスフェラーゼ(COMT)という酵素の働きを抑え、ドーパミンの分解を抑制する薬剤です。パーキンソン病の治療に用いられ、L-ドーパ(レボドパ)との併用で効果を発揮します。ウェアリング・オフ(効果が切れる現象)を軽減するために使用される。
レボドパは末梢においてCOMTに代謝され、3-O-メチルドパとなります。分解酵素であるCOMTを阻害することで脳に入るL-ドーパの量を増やします。
COMT阻害薬の主な種類
エンタカポン(Entacapone):商品名コムタン
末梢(血液中)でのCOMTを阻害し、L-ドーパの脳内移行を促進する
単独では効果がなく、L-ドーパ/カルビドパ(またはベンセラジド)と併用する必要がある
代表的な配合剤:スタレボ(L-ドーパ+カルビドパ+エンタカポン)
トルカポン(Tolcapone):日本で未承認
末梢だけでなく中枢神経系(脳内)でもCOMTを阻害
エンタカポンより強力だが、肝障害のリスクがあり使用に注意が必要
オピカポン(Opicapone):商品名オンジェンティス
長時間作用型(1日1回投与)
エンタカポンより強力で、副作用が比較的少ない
国内では25mgのみ使用可能
オピカポンはレボドパ製剤との服用時間および食事の前後と1時間空ける必要があります
COMT阻害薬の位置付け
早期パーキンソン病患者の運動症状には、レボドパ製剤やドパミンアゴニスト製剤、MAO-B阻害薬を使用しますが、 レボドパ製剤の1日投薬量は運動合併症の発現リスクにも考慮して処方する必要があります。
また日常生活動作の最大限の改善を目指し、 持続的ドパミン刺激(continuous dopaminergic stimulation)を意識した処方が望ましいです。
早期パーキンソン病患者における治療指針として「パーキンソン病診療ガイドライン2018」では、 運動合併症(ジスキネジア、 wearing-off)の発現リスクが高い若年発症者にはドパミンアゴニスト製剤やMAO-B阻害薬による治療開始が推奨されます。