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危険な二次性頭痛はしばしば雷鳴頭痛(突然発症し1分未満で痛みの強さがピークに達する「雷に打たれたような」激しい痛みを呈する頭痛の総称)で発症し、その原因は脳血管障害であることが多いので注意が必要です。

二次性頭痛のレッドフラッグとしてSNNOOP 10リストがあり、 一次性頭痛に紛れて来院する危険な二次性頭痛の鑑別に有用です。

単純CTでは脳血管の評価ができず、また後頭蓋窩やトルコ鞍部など部位によっては病変の描出が不明瞭であるため、 頭痛の画像検査としてはMRIが推奨されます

可逆性脳血管攣縮症候群(reversible cerebral vasoconstriction syndrome:RCVS)

RCVSの典型例は雷鳴頭痛で発症し、もともと頭痛の既往がある方は「いつもと違う頭痛」と表現されることが多いです。雷鳴頭痛は患者の約85~90%で再発し、1~4週間で平均4回繰り返され、性行為や労作、Valsalva手技、感情、入浴やシャワーなどが誘発因子となります。その強度と頻度は時間経過とともに減少
します。

臨床症状として、短時間に繰り返す複数回の雷鳴頭痛の有無を確認することが重要です。


画像検査では、70%以上で脳実質病変を認めないとされていますが、その後2週間で円蓋部くも膜下出血、脳出血、脳梗塞を発症することがあり、フォローアップが必要です。

単一の雷鳴頭痛は、脳動脈瘤破裂によるくも膜下出血や下垂体卒中、頭蓋内動脈解離、髄膜炎、脳静脈血栓症などで発症することもあり、鑑別診断のためには、脳血管を含めた画像診断を緊急で行う必要があります。

画像所見:脳血管病変として平滑な血管狭窄と血管拡張、いわゆるstrings of beadsを示す(ビーズのひもという意味)

下垂体卒中

病態としては下垂体梗塞に出血を伴い発症するとされ、典型的な下垂体卒中は雷鳴頭痛とともに視野障害(視野欠損)複視(外眼筋麻痺)などの視症状、悪心や嘔吐を生じることが多いです。

また下垂体前葉ホルモン低下は、黄体形成ホルモン(luteinizing hormone:LH)/卵胞刺激ホルモン(follicle stimulating hormone:FSH)が63.2%、ACTHが59.4%、甲状腺刺激ホルモン(thyroid stimulating hormone:TSH)が56.3%にみられ、副腎皮質機能不全に陥ると重度の倦怠感を訴えることがあり速やかなステロイド補充が必要となります。
下垂体卒中の誘発因子として、高血圧、冠動脈バイパスなどの大手術、下垂体ホルモン負荷テスト、抗凝固療法、エストロゲン療法、ドパミンアゴニストの開始または中断、放射線療法、妊娠、頭部外傷があげられます。画像診断としてCTでは十分診断できないこともあり、下垂体卒中を疑う場合には早期のMRIを考慮する必要があります。

参考文献

松森保彦
仙台頭痛脳神経クリニック
診断と治療 111(11): 1473-1478, 2023.

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投稿者

古田 夏海

群馬県高崎市「ふるた内科脳神経内科クリニック」で脳神経内科・内科の診療を行っています。

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