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むずむず脚症候群(レストレスレッグス症候群)とは
高齢者において、内科・外科疾患を含めた併存症や内服薬の増加、加齢の変化による睡眠の分断や浅化など様々な原因から不眠は半数以上に認めるとも報告されます。
レストレスレッグス症候群(restless legs syndrome : RLS)は、夜間・安静時に生じる下肢の不快感を伴う「動かしたいという衝動」(じっとしていられない不快な感覚)により不眠(入眠障害や日中の過眠症状(excessive daytime sleepiness:EDS))を来します。高齢者の不眠の原因の1つとしてRLSの鑑別が必要です。RLSでは夜間、安静時に増強する下肢の異常感覚により、60~90%の患者に不眠を認め、抑うつ、不安や生活の質の障害の原因になり得ます。疼痛を伴う例も存在します。
レストレスレッグス症候群の疫学
日本人の2~5%、全年齢でみられますが、高齢者・女性に多いです。
レストレスレッグス症候群の病因
大きく原因不明な特発性と二次性に分類されます。
三大要因として①遺伝的要因(若年発症者に多い)②ドパミン神経系異常 ③鉄の欠乏があげられます。妊娠による鉄欠乏状態で発症することもあります。
その他、尿毒症、糖尿病、末梢神経障害さらにドパミン阻害薬などによる薬剤性が原因としてあげられます。
治療薬
・ビ・シフロール錠 0.125mg~0.75mgを就寝1~3時間前に投与(腎排泄のため、腎機能障害例 CCr 20未満には慎重投与)
・ニュープロパッチ 2.25mg~6.75mg/日。貼付剤であり半減期が一定です。肝代謝。
・リリカと似たガバペンチンのプロドラッグであるガバペンチンエナカルビル(レグナイト:600mg夕食後、腎障害例には300mg)が痛みの強いRLS症例、不眠症や不安障害の合併例に特に有効です。
・リボトリール 0.5-2mg/日
・血清フェリチン値が75ng/L未満の場合、鉄剤の補充を行います。
理学的治療として、非薬物療法として睡眠衛生の改善、たばこ・カフェインやアルコールを控えること、軽い運動(激しい運動は避ける)、下肢のマッサージ、入浴が効果的です。