目次

原因

一般的な浮腫の原因として頻度が高いものはうっ血性心不全,肝硬変,ネフローゼ症候群,Ca
拮抗薬やNSAIDによる薬剤性浮腫があげられます。

浮腫の病態生理

病態生理は大きく分けて4つです

 ①毛細血管の静水圧上昇
 毛細血管内の静水圧が上昇することにより浮腫を呈します。このうち,血管内への塩分貯留がおこり,毛細血管から間質へと水分が過剰に移動し血管内容量(その一部である有効循環血液量も)が上昇する病態は,腎不全やネフローゼ症候群,薬剤性浮腫です。有効循環血漿量低下により塩分の再吸収が充進,悪循環を呈する病態がうっ血性心不全や肝硬変,門脈圧亢進による静脈系のうっ滞が起きる病態が肝硬変と門脈圧亢進症,右心不全により静脈系のうっ滞を呈する病態が肺高血圧症です。

 ②血漿膠質浸透圧の低下
 血管壁は,Naや水は自由に通過できるが蛋白は分子量が大きいため自由に通過できず,血漿蛋白は血管内の浸透圧物質となります。これが膠質浸透圧で,ほとんどがアルブミンによるものです。低アルブミン血症では血管内の膠質浸透圧が低下するために水分が間質へ漏出し,全身性の浮腫となる,ネフローゼ症候群,蛋白漏出性腸症によるアルブミン漏出,肝疾患,栄養障害によるアルブミン合成の低下,重度の低アルブミン血症をきたすと浮腫を呈します。通常アルブミンが1.5~2.0g/dl未満で浮腫を呈するとされています。

③血管透過性の亢進
 局所や全身での炎症性サイトカインやヒスタミン,ブラジキニンによる血管透過性の充進が浮腫を起こすことがあります。アナフィラキシーなどの全身性の血管透過性の充進の病態では発症時には浮腫を認めなくても循環血漿量を保つために細胞外液を負荷した時に著明に浮腫がみられることがあります。

④間質の膠質浸透圧の上昇,またはリンパ管閉塞
 甲状腺機能低下症で特徴的にみられる粘液水腫は,間質にムコ多糖類と蛋白質との複合体が増加し,圧迫しても圧痕を残さない非圧痕性浮腫(non‐pitting edema)を呈します。乳癌や前立腺癌,リンパ腫の直接浸潤や転移,外科手術によるリンパ節郭清,くり返す蜂窩織炎による
もの,フィラリア症ではリンパ管の閉塞やリンパ流のうっ滞が起きることがあります。長期化するとこれもnon‐pitting edemaを呈します。

身体所見

片側の下肢浮腫はまず深部静脈血栓症を考えます。通常下肢の腫脹に加え,圧痛がみられます。鑑別疾患はBaker嚢胞,蜂窩織炎などがあります。両側下肢の浮腫の場合は全身性浮腫と考えて対応します。

全身性浮腫でも分布が参考になることがあります。ネフローゼ症候群など低アルブミン血症をきたす疾患では眼瞼の浮腫など顔面に出現することが多く,心不全では下肢に優位に出現します。肝硬変では腹水を伴うことが多いが,肺高血圧症では腹水はまれです。

頸静脈の怒張は静脈圧の上昇を示唆する所見で,全身の血管内容量の増加,右心系の容量増加を示唆します。頸静脈怒張の所見があればうっ血性心不全や肺高血圧症を疑いますが、頸静脈の怒張がないからといって心不全や肺高血圧を否定はできません。

Non-episodic angioedema associated with eosinophilia(NEAE) 

20代から30代の若い女性の四肢末梢の浮腫に加え,疾痛や掻痒を訴えることが多く,末梢血好酸球増多を示す疾患です。少量のステロイドが有効で自然軽快することもあります。

好酸球性筋膜炎(ShuIman’s syndrome) 

急速に四肢に対称性の筋膜炎による表皮や皮下組織の発赤・腫脹をきたす疾患です。30代から60代のやや男性が罹患する頻度が多い。激しい運動や外傷を誘因として発症することがあります。通常ステロイドで治療をおこないます。

投稿者

古田 夏海

群馬県高崎市「ふるた内科脳神経内科クリニック」で脳神経内科・内科の診療を行っています。

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