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口の中や、手足などに水疱を伴う複数の発疹が出る感染症
手足口病は、子どもを中心に、主に夏に流行します。2歳以下が半数を占めますが、小学生でも流行的発生がみられることがあります。成人を含めた小学生以上の大半は、すでにウイルスの感染(不顕性感染も含む)を受けている場合が多いため、成人での発症はあまり多くありません。
病気の原因となるウイルスは、主にコクサッキーウイルスA16(CA16)、CA6、あるいはエンテロウイルス71(EV71)による感染症です。
主な症状
感染してから3~5日後に2~3mmの水疱を伴う複数の発疹が出ます。発熱は約3分の1にみられますが、38℃以下のことが多く高熱が続くことは通常はありません。しかしながら成人では高熱を伴うことがあります。ほとんどの発病者は、3~7日のうちに治る病気です。
手掌、足底、足背とロ腔粘膜の小水疸を特徴とします。成人では小児よりも口腔粘膜疹の頻度が少なく皮膚症状が多彩です。ロ腔粘膜疹や手足の皮疹のほかに、全身に多発する紅斑、丘疹、小びらん、痂皮、紫紅色斑あるいはStevens-Johnson症候群様皮疹などを生じることもあります。
(日本医事新報 (5175): 18-29, 2023.)
しかしながら、まれに、髄膜炎、小脳失調症、脳炎といった中枢神経系の合併症のほか、心筋炎、神経原性肺水腫、急性弛緩性麻痺など、重篤な合併症を伴うことがあります。特にEV71に感染した場合には、他のウイルスによる手足口病と比べて、中枢神経系の合併症(脳炎、髄膜炎)を引き起こす割合が高いことが知られています。
感染経路は、飛沫感染、接触感染、糞口感染(便と一緒に排泄されたウイルスが口に入って感染すること)が知られています。
手足口病に特別な治療方法はありません。基本的には軽い症状の病気のため、経過観察を含め、症状に応じた治療となります。
手足口病にかかった場合は、経過を注意深く観察し、合併症に注意をする必要があります。