目次

はじめに

中等度~重度の片頭痛、または軽度~中等度の片頭痛でも、過去にNSAIDs(ロキソニンなど)で効果が認められなかったケースではトリプタンの使用が推奨されています。

わが国で処方可能なトリプタンはスマトリプタン、ゾルミトリプタン、エレトリプタン、リザトリプタン、ナラトリプタンの5種類です。

トリプタンは服用のタイミングが重要

薬効の特徴として「頭痛早期に効果を発揮し、頭痛がピークに達してからの服用は効果に乏しい」点があげられます。

痛みがピークに達してからトリプタン製剤を内服する間違いが多いと言われています。

副作用(トリプタン感覚)

トリプタン感覚熱感、チリチリ感、感覚異常、一過性の首や胸の締め付け感などを認める場合があり、これは頚部筋・食道平滑筋のセロトニン受容体の関与が推定されています。薬物投与数分以内~30分後に始まり、1時間程度続く場合があります。使用しているうちに慣れることが知られています。

以下に代表的なトリプタン製剤について記載します

スマトリプタン(商品名:イミグラン)

経口:50mg (点鼻液:20mg 皮下注:3mgもあります/吸収率が錠剤より高い)

半減期が約2時間と短いため、服用後2時間で効果が不十分な時にはさらにもう1錠(50mg)の追加が可能とされています。

50mgで効果不十分の時次回より100㎎投与可能 200㎎/日以内とします。

ゾルミトリプタン(商品名:ゾーミッグ)

経口:2.5mg (水なしで飲めるRM錠:口腔内速溶錠もあります)

第2世代のトリプタンで、スマトリプタンに比べて経口投与による吸収率が上昇しています。

効果出現はスマトリプタンよりやや遅いですが、代謝産物も片頭痛改善の効果を有するため、効果の持続時間は長いとされます。

服用後2時間で効果が不十分な時にはさらにもう1錠(2.5mg)の追加が可能とされています。

最大容量は10㎎/日以内とします。

エレトリプタン(商品名:レルパックス)

経口:20mg

最高血漿中濃度到達時間が1-1.2時間と速やかで半減期も3.2-3.9時間と長いため、即効性とトリプタン内服後の再発率の低下が期待されます。

服用後2時間で効果が不十分な時にはさらにもう1錠(20mg)の追加が可能とされています。

最大容量は40㎎/日以内とします。

リザトリプタン(商品名:マクサルト)

経口:10mg(水なしで飲めるRPD錠:口腔内崩壊錠もあります)

トリプタンの多くで頭痛発作時の最高血漿中濃度到達時間が頭痛発作間欠期と比較すると長いのに対し、リザトリプタンは最高血漿中濃度到達時間が頭痛発作期及び間欠期ともに1時間と、変わらないことが特徴の1つとされています。

服用後2時間で効果が不十分な時にはさらにもう1錠(10mg)の追加が可能とされています。

最大容量は20㎎/日以内とします。

ナラトリプタン(商品名:アマージ)

経口:2.5mg

半減期が約5.5時間と長く血中濃度の持続性があることから、トリプタン内服2時間後くらいに片頭痛発作の再発を認める症例にも有効と考えられています。しかし最高血漿中濃度到達時間が約2.6時間と長いため、即効性には欠けてしまいます。

服用後4時間で効果が不十分な時にはさらにもう1錠(2.5mg)の追加が可能とされています。

最大容量は5㎎/日以内とします。

投稿者

古田 夏海

群馬県高崎市「ふるた内科脳神経内科クリニック」で脳神経内科・内科の診療を行っています。

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