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『急性腹症診療ガイドライン2015』は、日本腹部救急医学会、日本プライマリ・ケア連合学会、日本医学放射線学会、日本産科婦人科学会、日本血管外科学会の協力により作成され、2015年3月1日に医学書院から発行されました。現在2025年改訂準備中です。

このガイドラインは、急性腹症の初期診療に焦点を当て、症状から診断を行うためのアルゴリズムや初期対応の方法を示しています。特に、生命を脅かす疾患を見逃さず、適切な治療を行うことを目的とした「初期診療アルゴリズム」が特徴的です。

わが国では伝統的に内臓痛に対してブチルスコポラミンが使用され、鎮痛効果があれば内臓痛による疼痛の診断の補助となり、効果不十分例には入院を考慮しつつ、非麻薬性鎮痛剤であるペンタゾシンを追加すると言うプラクティスが行われてきました。急性腹症診療ガイドライン2015では、システマティックレビューを引用し国際標準に準じて痛みの強さによらず診断前早期のアセトアミノフェン1000mg静脈投与(アセリオ)がエビデンスレベル1、推奨度Aで推奨されています。

疝痛とは

疝痛(せんつう)とは、管腔が閉塞し、その中枢側が周期性に強く収縮する時に生じる痛みで、波がある間欠的な痛みが特徴です。

例えば、尿管結石の場合、尿管に結石がつまり、その石の中枢側が強く収縮する時に生じる痛みがその好例です。

ブチルスコポラミンのような鎮痙薬は腹痛の第一選択薬というよりは疝痛に対する補助療法として使用されます。

尿管結石の疼痛

尿管結石の疝痛には非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDS)を用い、使用できない場合にはオピオイド類の使用が勧められます

まとめ

急性腹症に対する鎮痛薬として最も適切なのはアセトアミノフェン

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投稿者

古田 夏海

群馬県高崎市「ふるた内科脳神経内科クリニック」で脳神経内科・内科の診療を行っています。

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