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COVID-19に伴う頭痛
Caronnaらの報告ではCOVIDー19に関連した頭痛の強度は、1/4に重度の頭痛がみられました。重度の頭痛群は軽度から中等度の頭痛群に比べて若年で女性が多く、感覚過敏症状を含む片頭痛様頭痛が多かったと報告されます。
トルコからの報告ではCOVID-19に伴う頭痛の特徴は、72時間を超えて持続、両側性、鎮痛薬に抵抗性、男性、嗅覚・味覚障害や消化器症状との関連であったとされます。
COVID-19に関連する神経症状を含む臨床症状は急性期だけでなく、4週以降も持続する場合
がありlong COVID-19と呼ばれています。COVID-19患者の80%に感染2週間後も何らかの症状を有し、最も多いCOVID-19関連長期症状として、疲労(58%)、頭痛(44%)、注意障害(27%)、脱毛(25%)、呼吸困難(24%)が挙げられています。
頭痛、発熱で発症したCOVIDー19関連髄膜脳炎、急性壊死性脳症、脱髄病変、COVID-19発症
後にくも膜下出血を発症した症例も報告されています。
COVID-19関連頭痛の病態
COVID-19の原因となるsevere acute respiratory syndrome coronavirus 2(SARS‐CoV‐2)はウイルス表面のスパイクタンパクを用いて哺乳類の宿主細胞にあるアンジオテンシン変換酵素2(ACE2)受容体に結合して侵入します。ACE2受容体は中枢神経系にも広く存在します。
COVID‐19による頭痛の発症機序としては、①鼻腔にある三叉神経終末へのSARS-CoV-2
の直接浸潤②ACE2を高発現する内皮細胞の障害が三叉神経血管系を活性化させる③炎症性メディエーターやサイトカインが血管周囲三叉神経終未を刺激する可能性が示唆されています。
COVID-19と片頭痛への影響
海外の報告でCOVID-19によるロックダウン期問中の片頭痛患者1018例を対象とした
web調査では60%に片頭痛の頻度が増加し、10%が慢性片頭痛に進行したとされます。また片頭痛の重症度は64%の患者で悪化したという報告もあります。