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多尿と頻尿

多尿・・・一日3L以上の尿が出る
頻尿・・・尿の回数が多い

多尿の原因は
①浸透圧物質による多尿(マンニトールなど)、高血糖に伴う多尿
②尿崩症(diabetes insipidus : DI)

が挙げられます。DIはADHが分泌されない、あるいは腎臓で効かない、という状態です。

ADHの作用は、腎臓の集合管に作用して、自由水を再吸収します。
ADHが効かない→自由水の再吸収ができない→希釈尿+高Na血症
という形です。
高Na血症→口渇→飲水
が促されるので、一日の尿量は多いことが多いです(意外とNa濃度は正常であることが多い)

腎臓の排泄できる上限を超えて水(だいたい数10L)を飲んだ場合には希釈性の低Na血症となることがあり、この場合は水中毒と呼ばれます(統合失調症の人に多く、使われる薬剤もADH分泌を促すことが多いのでハイリスクです。)

DIが疑われる場合は、デスモプレシン感受性を診断します。水制限試験や5%高張食塩水負荷などでNa濃度とADHの濃度をチェックして(ADHの分泌不全を確認)、バソプレシン負荷試験でuOsmが上昇することを確認し(腎性尿崩症の除外)、MRIなどの画像診断で判断する必要があります。
治療としてはADHの補充を行います。現在はデスモプレシンの点鼻だけでなく、内服できるミニリンメルト®なども登場しています。

ちなみに乏尿(Oliguria)は1日400-500ml以下、無尿(Anuria)は1日50-100ml以下です。

投稿者

古田 夏海

群馬県高崎市「ふるた内科脳神経内科クリニック」で脳神経内科・内科の診療を行っています。

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