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体液量異常とNa異常を混同しない

体液量とNaは別個に考えるべきファクターです。

体液量には正常範囲があり、多い場合を溢水、少ない場合を脱水といいます。正常範囲は腎機能や心機能などの様々な因子で決まるので、明確な線引きはできません。

体液量過剰の時には低Na血症になりやすい、などのパターンはあります。

自由水=真水(あるいは蒸留水)

自由水は溶質(たとえばナトリウム)が入っていない水のことを指します。英語で言うとsolution free waterということになります。

人間の体の中の水分は0.9%食塩水と同じ組成で細胞外液に分布するという原則があります。つまりまず0.9%で分布し、真水が多い場合は薄まって低Na血症になり、真水が少ない場合には高Na血症になるというわけです。

尿検査で大事なパラメータ

①比重

大まかな濃さがわかります。尿比重は1.010を等張尿と呼びます。
1.010を超えた濃い尿は高張尿、1.010未満の薄い尿は低張尿です。

②尿中Na濃度 ③尿中K濃度

④尿浸透圧

血清はserumなので血清浸透圧はsOsm、尿はurineなので尿浸透圧はuOsmと表されます。
sOsmはNa(正常値140mEq/L)の約2倍
uOsmの正常値はありません。身体の水が余ったら薄い尿を出して調節し、身体の水が足りなくなったら濃い尿を出して調節します。

⑤尿pH(酸塩基平衡まで行うには重要)

尿の濃さを決めるのが尿中の自由水の排泄量

尿中の自由水を調節するのに重要なホルモンがADH(antidiuretic hormone:抗利尿ホルモン)です。ADHが作用すると、自由水が再吸収されて尿が濃くなります。

ADHが作用できないと自由水を再吸収できないために尿が薄くなります