目次

上位および下位運動ニューロン症状がみられる典型的なタイプである古典型 ALS 以外に、下位運動ニューロン症状のみが発現する進行性筋萎縮症(PMA)、球麻痺のみを呈する進行性球麻痺(PBP)、上位運動ニューロン症状のみがみられる原発性側索硬化症(PLS)、両上肢近位部および肩甲帯に筋力低下・筋萎縮が限局する flail arm syndrome、片側の下肢遠位部特に下腿前外側の筋力低下・筋萎縮から始まる flail leg syndromeなどの臨床亜型が存在します。認知症とALSの合併も報告されています。

運動ニューロン疾患を伴う前頭側頭型認知症(湯浅-三山病)

前頭側頭葉型認知症(frontotemporal dementia;FTD)と診断された症例の一部にALSなどの運動ニューロン疾患(motor neuron disease;MND)が合併することが知られています(FTD-MND)。本邦でも湯浅-三山病として報告されて以降、FTDとMND の合併例が報告されています。湯浅-三山病の特徴として、運動ニューロン症状は下位運動ニューロン障害に基づく症状が中心であり、嚥下障害や舌の萎縮などの球麻痺症状が著明で、筋力低下・筋萎縮や筋線維束収縮は上肢に出現することが多いです。運動ニューロン症状は認知症や精神症状が出現したあとに顕在化してく
ることが多く
上肢型および球麻痺が初発症状となることが多いと報告されてきました。

湯浅-三山病とFTD-MNDは、遺伝的な背景は大きく異なり、近年欧米にて報告されているC9ORF72 遺伝子異常は、本邦を含め東アジア諸国ではほとんど報告が見られません。

flail arm syndrome

flail arm syndromeとは、上肢に限局する下位運動ニューロン障害を特徴とするALSの亜型の1つで、両側上肢近位部に筋力低下・筋萎縮がみられます。
ビュルピアン型(Vulpian’s form)、Vulpian-Bernhardt(ベルナール)症候群、hanging-arm syndrome、man-in-a barrel syndrome、brachial amyotrophic diplegiaなどとも呼ばれます。

投稿者

古田 夏海

群馬県高崎市「ふるた内科脳神経内科クリニック」で脳神経内科・内科の診療を行っています。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です