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Long COVIDとは
コロナ感染後一か月後経過しても持続する健康問題がLong COVIDと定義されています。
https://www.cdc.gov/coronavirus/2019-ncov/long-term-effects/index.html
いわゆるコロナ罹患後の病み上がり症状です。
コロナ罹患後の症状が三か月以上持続している状態を後遺症としての遷延性症状と考えます。
どのような症状があるか
・長引く咳(乾性咳嗽)
・不安障害
・抑うつ
・睡眠障害
・Brain fog(認知障害 頭が回らない)
・食欲不振
・脱毛
・微熱/間欠熱
・息切れ/呼吸苦
・動悸
・胸痛/胸部不快感
・頭痛
・筋肉痛/関節痛
・味覚障害
・嗅覚障害
などの上気道症状(かぜ)/消化器症状(下痢など)の他に心肺症状、感覚障害、倦怠感、精神神経症状など様々な症状がみられます。
コロナの流行がオミクロン株になって、嗅覚障害が減少して抑うつ症状が増加しています。またBrain fogや頭痛も増加しています。
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000121431_00348.html
想定される原因
・コロナウイルスが持続感染
・微小血栓が各臓器に形成
・サイトカインストーム(免疫系の暴走)
・ウイルス感染後疲労症候群
・休眠中のウイルス再活性化(帯状疱疹などのヒトヘルペスウイルス)
などが症状を引き起こす機序として想定されています。いわゆる慢性疲労症候群との関連が指摘されています。
COVID-19罹患後遷延性症状が起こる頻度
一か月後に症状が残存する割合は20%、三か月後に後遺症がみられるのは約10%程度とされています。大人の方が後遺症が残存する場合が多いとされます。
慢性咳嗽の治療
麦門冬湯(29番)や滋陰降火湯(93番)、竹茹温胆湯(91番)が推奨されます。
のどのいがいが感が強い場合は29番、痰が喉の奥にあり寝ていてむせこむ場合は93番、夜間のせき込みには91番が推奨されます。
喘息様の症状がある場合には魔杏甘石湯(55番)が推奨されます。五虎湯(95番)も同様に効果があり、錠剤もあります。
鼻炎症状や後鼻漏症状(鼻かぜ症状)には小青竜湯(19番)が適応です。
鼻閉症状が強い場合は辛夷清肺湯(104番)が推奨されます。
嗅覚障害・味覚障害の治療
味覚障害の95%は嗅覚障害に由来するとされます。
ステロイド点鼻や、漢方薬(嗅細胞の再生促進)治療があげられます。
当帰芍薬散(23番)、人参栄養湯(108番)、十全大補湯(48番)、加味帰脾湯(137番)が嗅覚障害には推奨されます。
また味覚障害は、薬剤性・舌炎・口腔カンジダ(ステロイド吸入などの副作用)も鑑別が必要です。
亜鉛の内服補充や漢方薬(補中益気湯や麦門冬湯、半夏瀉心湯、黄連解毒湯)が味覚障害の漢方治療としてあげられます。
脱毛治療
男性型円形脱毛症:ミノキシジル5㎎(内服)ないしは5%(外用)
女性型円形脱毛症:ミノキシジル2.5㎎(内服)ないしは1%(外用)
→発毛促進/育毛効果
フィナステリド(先発品:プロペシア0.5㎎ないしは1㎎)
デュタステリド(先発品:ザガーロカプセル0.5㎎)
→脱毛防止
漢方治療
十全大補湯(48番)/八味地黄丸(7番)/柴胡加竜骨牡蛎湯(12番)/桂枝加竜骨牡蛎湯(26番)
心肺症状(胸痛、動悸、呼吸苦、息切れ)
まずは肺の拡散能低下や心筋炎を除外します。
それでも症状が三か月以上続く場合は体位性頻脈症候群(POTS)を疑います。
POTSは安静臥床5分後に起立すると、血圧は変わらないが、脈が速くなる症状がみられます。
診断基準は、心拍数が30回以上増加する場合です。
POTSは午前中に症状が強くなることが多いです。
治療は水分を一日2-3L、着圧ストッキングやスパッツ、内服薬ではプロプラノロール(商品名:インデラル)や血管収縮目的にミドドリン(メトリジン)を使用します。
筋痛性脳脊髄炎/慢性疲労症候群 ME/CFS
診断基準を以下に示します。
長い期間(半年以上)にわたって休息しても回復しない強い倦怠感を伴う日常活動能力の低下、軽度の肉体的・精神的活動(言い合いなどのレベル)後に強い疲労/倦怠感が続き(以下の表でPS3以上)、睡眠障害や認知機能障害または体位性頻脈症候群の症状を認めます。
PS0 症状なし PS1-2は軽度 だるさはあるが労働可能
PS3-6は中等度症状 PS3は土日以外に休息が必要
疲労症状の出現にタイムラグ(半日~2日後にしんどくなる)あり
PS4は週何回か症状あり
PS5はフルタイム勤務困難
PS6は調子のよい日は軽労働が可能
PS7は身の回りのことは介助不要だが通常の社会生活は不能
PS8は入浴などに介助が必要 一日の半分は横になっている
PS9は寝たきり状態
治療は精神的肉体的活動のペース配分を行います。休息と活動のペース配分を心掛け、疲れることは避けるようにします。バランスをとっていけば少しづつ症状の改善が期待できるとされます。