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内頚動脈海綿静脈洞瘻(CCF:carotid-cavernous fistula)は、頭部外傷や動脈の異常により、海綿静脈洞とその中を通る内頚動脈の間に異常な血流のショートカット(動静脈瘻)が生じる疾患です。
CCFは内頸動脈本幹あるいは内・外頸動脈の硬膜枝(dural CCF)などから海綿静脈洞へ血流の短絡が生じるます。
本疾患は①直接型と②間接型に分類されます。直接型は海綿静脈洞と内頸動脈が直接的に交通したものであり、外傷により発生することがほとんどです。
間接型は海綿静脈洞と内頸動脈の硬膜枝や動脈瘤などが交通したものであり、硬膜動静脈痩や動脈瘤の破裂などが原因とされています。一般的に間接型の発生頻度が高くCCF全体の83%といわれています。
直接型は交通する血液量が多いため、症状がより重篤化しやすいです。
耳鳴、頭痛(目の奥の痛み)、複視などの自覚症状で発症することがあるので注意が必要です。診断には画像検査が重要で、治療は主にカテーテル塞栓術が選択されます。症状が軽い場合は経過観察も可能です。

右海綿静脈洞付近に高信号病変がみられる

加納恒男
日本大学医学部 脳神経外科学系 神経外科学分野
ペインクリニック 37(別冊秋): S347-S354, 2016より
国家試験にも出題



目の静脈が逆流(AJNR 2020;41:1599-1605)
CCFで耳鳴が出現
CCFの3徴は①眼球結膜の充血浮腫 ②拍動性の眼球突出 ③眼窩部における血管雑音聴取とされますが、脳静脈の逆流により耳鳴を発症することがあります。
耳鳴り、頭痛、視力障害、眼球運動障害などが認められる場合はMRIやMRA検査、CTアンギオさらにカテーテルによる脳血管撮影を行い治療法を決定します。