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昨日世界パーキンソン病デー医療講演会in北関東で「パーキンソン病 最近の話題」というテーマで講演を行いました。埼玉医科大学脳神経内科教授の大山彦光先生の講演も勉強することができました。そこで発表、勉強した内容をまとめます。
パーキンソン病の原因
不明ですが、α-シヌクレインというたんぱく質が蓄積することでドパミン神経が脱落します。顕微鏡で見るとレビー小体というたんぱく質の塊(αシヌクレインが主成分)が神経細胞に蓄積しているのがみえます。
α-シヌクレインに対する抗体療法も今後登場予定です。
治療のgold standardはレボドパ

レボドパはドパミンの前駆物質です。(ドパミンでは脳に届かない)
半減期は3時間と効く時間が短いのがデメリットですが、レボドパ徐放性剤の治験もスタートしています。
長期に内服していくとウエアリングオフやジスキネジアなどの副作用が問題となってきます。

病初期にはドパミン神経にためる力があります。
徐々にウェアリングオフ→ジスキネジア(効きすぎ)の症状がでてきます。
こうならないように他の薬を併用していく必要があるわけです。
デバイス補助療法について


機械は英語でデバイスといいます。脳深部刺激療法(DBS)やポンプ療法(LCIGやCSCI)があげられます。
DBSは神経回路を改善させる治療法です。
ドパミンが足りなくなるとブレーキばかり踏んで動きが遅くなります。DBSはブレーキに対する妨害電流を流す治療法です。
脳の中の電気信号による情報伝達を改善させるため、頭蓋骨に穴をあけて心臓の深いところに刺激装置を埋め込みます。
DBSはいわば「脳のペースメーカー」とも言えるものであり、一定の刺激を与えます。(内服薬はゼロにはならない)
近年は「アダプティブDBS」という神経回路の調節が可能なDBSがあります。これはオフ状態になると脳波の波形が変わることを利用して、脳波を検出して神経回路を調整します。
DBSの適応は認知機能低下があると困難であり、おおむねMMSE24点未満は適応になりません(MMSE24-26点がボーダー)適応に際し年齢よりも認知機能が重視されますが、70歳以上の方は認知機能低下がないかを確認したほうが望ましいと考えられます。
デュオドーパ

2017年より投与が可能になりました。コロイド状のレボドパの液体をポンプで投与ができます。
レボドパは体の生理的なpHでは溶けないため、酸性にする必要があることがそれまでの問題点でした。
コロイド状の液体で量があるので皮膚に注入できませんでした。
ヴィアレブ

2023年より投与可能になりました。
ホスレボドパというレボドパのさらに前駆物質を投与します。
パッチを特殊な機器でパチンとやり皮膚(皮下)に注入します。ウエストポーチにつけて歩くことができ、一日動ける状態を作れます。
皮下注製剤は注入したところが硬くなったり、皮膚の炎症を起こしうるのが注意が必要です。
FUS
これは超音波のビームによる治療です(小さい範囲を焼けばOK)。頭蓋骨に穴を開けなくてよい低侵襲な治療です。
適応は片方だけのふるえ(振戦)の症状に限られます。