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急性期脳梗塞に対する血管内治療の適応拡大

脳梗塞は一旦発症すると劇的に症状を改善するのは難しい病気である、と長らく考えられていましたが、2005年より本邦でも投与可能になったt-PA療法によって、発症早期にt-PAを静脈投与すれば神経症候の改善が可能になりました。

一方で内頚動脈や中大脳動脈近位部などの主幹動脈(大血管)の閉塞に対しては症状改善効果が低く、内科的治療の限界がみられていました。

その中で機械的に血栓を取り除く脳血管内治療は、脳梗塞の治療成績向上に寄与してきました。

2014年から2015年にかけて発表された5つのランダム化比較試験により、先に述べた内頚動脈や中大脳動脈近位部の閉塞に対し、t-PA療法に加えて機械的血栓回収療法を併用することで、t-PA治療のみを行った場合よりも90日後の日常生活自立度を優位に改善させました。

さらには2018年には治療時間枠の拡大のための研究も行われており、症例によっては6時間を超えても機械的血栓回収術を検討すべき、と考えられるようになってきているのです。

つまり、現在の機械的血栓回収療法の適応は従来の6時間以内という時間枠ではなく、最終健常確認から24時間以内であれば、神経症候に画像的評価を加えることで適応を判断するという時代になってきています。

意識障害や共同偏視などの大脳皮質症状がある患者さんでは、主幹動脈の閉塞を念頭において、機械的血栓回収術も視野に入れた治療を進めていく必要があります。

機械的血栓回収術の適応基準

発症から6時間以内が原則

・発症から6~24時間が経過している症例では、MRIで拡散強調像(DWI)とFLAIR像のミスマッチが明らかな症例を適応とする。

・18歳以上が適応、発症前のmRSも重要なので、高齢患者さんの場合は元のADLも考慮する。

・原則発症前のmRSが0-1の軽症者を対象とする。mRS4以上は適応無し。

・閉塞血管は、当院では内頚動脈、中大脳動脈(M1-M2部)、脳底動脈、後大脳動脈(P1部)の閉塞を対象とする。

NIHSS6点以上

・DWI-ASPECTS6点以上

Time is brain. Time loss is brain loss.

血管内治療に伴い、閉塞血管の再開通が早く認められるほど、良好な転帰が期待できます。再還流が1時間遅れると3ヶ月後転帰良好例が19%減少するとされ、救急車で受診した後、MRI撮影、t-PA療法、血管内治療開始までの時間短縮に努める必要があります。

投稿者

古田 夏海

群馬県高崎市「ふるた内科脳神経内科クリニック」で脳神経内科・内科の診療を行っています。

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