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RT-QUICとは
Real–time quaking–induced conversion(RT-QUIC)法は、異常プリオンを種とし、超短波存在下に振盪することで、微量に存在するプリオンを増幅するプリオン病の診断方法です。髄液、ついで鼻粘膜スメアーによる有用性が報告されています。
プリオン病を引き起こす感染病原体はプリオンタンパク(PrP)と呼ばれます。異常型 PrP は、正常型 PrP が構造上変化したもので、外部より異常型 PrP が宿主細胞内に侵入すると、細胞内で恒常的に発現する正常型 PrP に作用し、正常型 PrP から異常型 PrPへの構造変化が誘導されます。
RT-QUIC法では、異常型 PrP を増幅反応の核(シード)として用いて、リコンビナント PrP(rPrP)の凝集(フィブリル形成)反応を連続的に試験管内で行わせ、サンプル(脳脊髄液)中の異常型 PrPを増幅して検出するという方式です。
※recombinantは組換えと言う意味で、人工的な遺伝子から発現された蛋白です。リコンビナントがwild type(正常)であり、サンプルの脳脊髄液とシェイクして凝集が起こるか(患者の脳脊髄液でコンバートする)を確認します。特異度が高い検査ですが、稀に脳炎でも疑陽性になることがあります。感度は100%ではないので注意が必要です。
プリオンとは
プリオンはStanley Ben Prusiner博士が蛋白(protein)と感染因子(virion)を組み合わせ創造した造語です。正常に存在する蛋白が、可溶性alpha-helical structureから不溶性beta-sheet構造に構造変換し、それが種となり次々と正常の蛋白を異常蛋白に変換し中枢神経を拡がっていきます。
Kuru病とは
ニューギニアで戦闘でなくなった戦士の脳を食する女子供にしかプリオン病が発症しないことより、発病した娘の死後脳をチンパンジーに接種し伝搬を証明しました。外来性に異常蛋白を入れて、内在性に伝搬することがプリオンの特徴です。
プリオン病のその他のバイオマーカー
髄液中の14-3-3蛋白、総タウ蛋白が上昇します。
RT-QUICとは異なり、プリオン病に特異的なマーカーではありません。
14-3-3はシナプスに多く見られ、シナプス障害で上昇します。