総論

内科的エマージェンシーであり、血液培養2セットを採取したらすみやかに抗菌薬を開始します。

血液培養は5割で陽性になるとされます。

髄液細胞数が増加し、髄液糖が血糖の2/3以下の場合、細菌性髄膜炎と考え治療します。

発症早期では細胞数が正常であったり(10%では100/mm3以下)、ヘルペスなどのウイルス性髄膜炎や結核であっても一過性に好中球優位になったり、リステリア性髄膜炎では単核球が増えたりすることもあります。

細胞数3000/mm3以上、糖50mg/dl以下、蛋白200mg/dl以上どれか一つあれば細菌性髄膜炎に特異的です。

原因菌

日本では年間1500例程度の髄膜炎が発生しており、そのうち7割は小児であるとされます。

B群溶連菌(Group B Streptococcus;GBS)の髄膜炎は日本ではまだ多く、特に生後7日以降に発症するlate onset disease (LOD)が多いです。

また、妊婦のGBSスクリーニングでGBS感染症が減ると相対的に増えるとされる大腸菌も、原因菌として重要です。

その後、年齢が上がっていくと肺炎球菌インフルエンザ菌が原因菌となりやすくなります。髄膜炎菌も原因となりますが、日本では稀です。免疫抑制者(妊婦・高齢者・免疫抑制薬やTNF-α使用者・HIV患者)ではリステリア菌Listeria monocytogenes)も重要です。

肺炎球菌・インフルエンザ菌には効果的なワクチンがあり、ワクチンの普及で発症の減少が期待されます。

提出すべき髄液検査項目

一般;細胞数 糖 蛋白

細菌塗抹;グラム染色 抗酸菌染色 墨汁染色

細菌培養;一般 抗酸菌 真菌

その他;PCR法(HSV、TB) クリプトコッカス抗原

治療方針

①市中発症の場合

原因微生物は、肺炎球菌と髄膜炎菌を想定します。

第三世代セフェム抗菌薬CTRX 2gを12時間ごとVCM 25mg/kgを12時間ごと)が推奨されています。

肺炎球菌のVCM感受性はほぼ100%だが、髄液移行性が乏しいことも有り(炎症がある場合の髄膜炎時は十分な髄液内濃度の達成は可能とされます。) CTRXと併用し、耐性菌の可能性に備えます。

CTRXの方がカルバペネム系(MEPM・パニペネム(カルベニン))よりも肺炎球菌の感受性が良いため、CTRXを選択した方がベターです。

原因菌がPRSP(ペニシリン耐性肺炎球菌)でなければVCMはde-escalation可能です。

②βラクタムアレルギーの場合

VCM1-1.5gを12時間毎+LVFX500mgを24時間ごと+RFP300mgを1日2回内服

③院内発症の場合(脳外科手術後など)

VCM1-1.5gを12時間毎+CFPM2g(マキシピーム)を8時間ごと

④50歳以上、細胞性免疫不全を伴う場合

リステリアをカバーするために、上記の各投与用量に

ABPC2gを4時間ごとを併用します。(リステリアはセフェムが効かないため)

⑤人格変化や意識障害が強く、脳炎を疑う場合

単純ヘルペス脳炎を考慮し、ACV 10mg/kgを8時間毎 を併用します。

HSV-PCR陰性に加え、MRI異常所見がなければ可能性は極めて低いので、治療の中止を検討します。ただし、発症2日目まではPCR偽陰性があります。

⑥ステロイドの使用について

・生命予後、機能予後を改善するというデータがあります。市中発症の免疫不全者を除いた肺炎球菌による髄膜炎が最も効果的な適応です。

抗菌薬開始前が原則で有り、開始後の投与は抗菌薬の髄液移行性を減らす可能性が有り、推奨されません。

デキサメタゾン10mgを6時間ごと、4日間(抗菌薬投与前から開始)

・髄液の蛋白や細胞の増加は、遷延することがあるので正常化の必要はないとされます。

・亜急性の経過で、進行性で髄液糖の低下があるリンパ球優位の無菌性髄膜炎をみたときは、そうでないことがわかるまで結核として対処します。

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投稿者

古田 夏海

群馬県内の総合病院で脳神経内科医として勤務しています。

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