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ペルオキシソーム病とは

ペルオキシソームは、 細胞内小器官であり、脂肪酸のβ酸化などの脂質代謝と密接にかかわっています。ペルオキシソームの形成異常や機能障害は、Zellweger症候群や副腎白質ジストロフィーなどペルオキシソーム病と呼ばれる重篤な脂質代謝異常症をもたらします。

ペルオキシソーム代謝異常がARSCDに関係

ペルオキシソームにおける蛋白の輸送や、膜の生合成にかかわるさまざまなPEX遺伝子の異常によるペルオキシソーム形成異常症(peroxisomal biogenesis disorders;PBD)の概念が確立しています。
PBDは一連のスペクトラムとして重症度によってZellweger症候群など3つの病型に分類されています。近年、PBDの原因遺伝子であるPEX遺伝子変異を持つ小脳失調を呈する患者が報告され、常染色体劣性遺伝形式をとり(→ARSCD)、PBDの中の軽症な病型として認知されてきています。PBDによる小脳失調は報告がまだ少なく不明な点も多いですが、とても緩徐に進行する小脳失調であることが報告されています。

副腎白質ジストロフィー

病因はXq28に存在するALDP遺伝子異常で、この蛋白は、C末にATP結合カセット領域を有
するペルオキシソーム膜蛋白で、極長鎖脂肪酸の輸送に関与していると考えられています。
(PBDと異なり伴性劣性遺伝というのがポイントです。)

まとめ

若年性の脊髄小脳変性症ではペルオキシソーム病のスクリーニングも検討する

参考文献

Mutations in PEX10 are a cause of autosomal recessive ataxia.Ann Neurol. 2010;68:259.
PEX10遺伝子の変異はペルオキシソーム合成障害を来たし,劣性遺伝性の失調や運動軸索性末梢神経障害の原因となる.