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発作性ではなく持続性に起こるめまい
以前のブログ記事でも掲載しましたが、めまいが発作ではなく持続性または慢性的であった場合には、「持続性知覚性姿勢誘発めまい(Persistent Postural-Perceptual Dizziness: PPPD)」を考慮する必要があります。これは2018年に診断基準が発表された新たな疾患概念です。慢性とは非回転性のめまいが三ヶ月以上持続することを指します(NHKでも特集されています)
PPPDの患者さんは「コンビニエンスストアやスーパーマーケットでの買い物でめまいがする」と訴えることがあります。陳列されている商品をいろいろと見ているうちにめまいが生じます。
他には「走っている車をみるとめまいがする」「スマートフォンのスクロール画面をみるとめまい」というパターンもあります。
PPPDの大多数が前庭疾患に続発する
PPPDは、姿勢制御・空間識・情動に関わる感覚処理の異常が原因である機能性疾患と考えられています。
PPPDを発症する患者さんは、多くの場合何らかの前庭疾患(めまい発作)の既往があり、それらが軽快してもフワフワ感が持続することが多いとされます。
めまいの回復過程で体が視覚刺激に対して過剰反応してしまっている病態です。(姿勢制御を視覚優位にシフトさせるなど)
治療法
①SSRI(SNRI) ②前庭リハビリテーション ③認知行動療法
抗うつ薬(SSRI/SNRI)が有用という報告があります。投与量はうつに用いられる量の半量程度で有効とする報告が多いとされます。1/4程度は腹部症状の副作用により内服困難で、奏功率は70%程度とされます。
奏功機序は明らかではないですが、前庭リハビリテーションが有効とされます。ただし、前庭リハビリテーションで却ってめまいを誘発・悪化させる場合もあり、どのようなプロトコールが最適なのかなどの問題が残されています。
認知行動療法は精神療法の1種で精神科医、心療内科医、臨床心理士が行う専門的な治療法である.めまいに対しては現時点では限られた施設で行われているのみです。