目次

脳動脈解離 3つのポイント

脳動脈解離は
①突然の激しい頭痛(特に片側性の後頸部痛・項部痛)
②高血圧や頚部の運動などが原因
③脳梗塞、くも膜下出血を合併しうる

という特徴を有します。

脳動脈解離で急性頭痛が生じる機序

脳動脈は知覚神経終末があるので、脳動脈そのものが痛覚を感じます。

動脈は内膜、中膜、外膜の3層からなり、通常は3層が隙間なく接着しています。
高血圧により動脈硬化が進行し、動脈壁に無理な圧力がかかると、3層の接着が剥がれ動脈壁が解離し、解離腔に血流が入ります。解離の過程で激しい頭痛を呈します。

高血圧(動脈硬化)以外にも動脈組織の先天的疾患(Ehlers-Danlos症候群)、Marfan症候群、頚部の運動、牽引や回転などの物理的要因、梅毒などの感染症があげられます。

くも膜下出血・脳梗塞を生じる機序

解離が進行し外膜が破けるとくも膜下出血となり激しい頭痛を呈します。

正常で血流が流れるべき血管腔を真腔、解離してできた血管腔を偽腔と呼びます。
解離が進行して偽腔が拡大すると真腔が狭窄し、真腔そのものや分岐する動脈が閉塞すると脳梗塞となります。
脳梗塞は頭痛はあまりなく、脳梗塞の部位に応じて神経症状を呈します。

脳動脈解離は椎骨脳底動脈に多くみられます。内頸動脈にも解離がみられることがあります。解離した脳血管と頭痛の部位には関連性があり、内頸動脈では前頭部、側頭部、眼窩部、頸部に疼痛が生じやすく、椎骨動脈の解離では病巣部の後頸部、後頭部に疼痛が出現することが多いです(解離動脈と同側の頭痛)。

脳動脈解離のMRI所見

脳動脈解離の画像所見 (藤田ら 日本臨牀 75(増刊号4): 376-382, 2017)


 壁内血腫はcomputerized tomography angiography(CTA)や脳血管造影では検出しにくいが、MRIでは検出しやすいことが知られています。


投稿者

古田 夏海

群馬県高崎市「ふるた内科脳神経内科クリニック」で脳神経内科・内科の診療を行っています。

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