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新型コロナウイルス感染症の新規治療薬として、重症化リスクを有する軽症・中等症者に対するファイザーのニルマトレルビル/リトナビル(商品名:パキロビットⓇパック)が2022年4月22日厚生労働省通達よりクリニックでも処方可能になりました。
パキロビットはウイルスの体をつくる蛋白質合成を阻害する薬(プロテアーゼ阻害薬)です。プロテアーゼ阻害薬であるニルマトレルビルおよびニルマトレルベルビルの分解を阻害するリトナビルの合剤です。
米国NIHガイドラインではパキロビットが第一選択薬
パキロビットは軽症~中等症かつ重症化リスクを有する新型コロナ患者に対する早期治療薬(内服薬)です。(重症化リスクを有しない患者さんなどでは投薬が推奨されていません)
重症化リスクがある患者さんで最も推奨度が高いのがパキロビットです。
発症5日以内に投与する必要があります。投与条件は成人または12歳以上かつ40kg以上です。
進行した腎不全症例には使用できません(eGFR<30)
二重盲検プラセボ対照RCT(EPIC-HR試験)で、発症5日以内の重症化リスクを有するワクチン未接種者に対する効果として、28日以内の入院+死亡が88%減少しています。(ワクチン接種後の高リスク例でも効果が期待できます)
副作用は治療群での死亡例はなく、味覚障害が5.6%、下痢3.1%の報告があります。
また、パキロビットと薬物相互作用に注意する必要があります。
・エベロリムス、シクロスポリン、タクロリムスなどの免疫阻害薬は併用注意
・コルヒチン、クラリスロマイシン、ワルファリンも併用注意
・クエチアピン、フルコナゾール、バルプロ酸、ラモトリギンも併用注意
・カルシウム拮抗薬(降圧剤)も併用注意
・アトルバスタチン、ロスバスタチン、トラゾドンも併用注意
と他の薬剤との相互作用を必ず確認する必要があります。
パキロビットの用法用量
通常、成人及び12歳以上かつ体重40kg以上の小児には、ニルマトレルビルとして1回300mg及びリトナビルとして1回100mgを同時に1日2回、5日間経口投与します。つまり、1回あたりニルマトレルビルは2錠、リトナビルは1錠、計3錠の服用することになります。
中等度の腎機能障害患者(eGFR30mL/min以上60mL/min未満)には、ニルマトレルビルとして1回150mg及びリトナビルとして1回100mgを同時に1日2回、5日間経口投与するように投与量を調節します。