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頸動脈・椎骨動脈解離は脳血管障害の原因となり得る病態です。特に若年者の脳血管障害の原因として占める割合が高く重要です。本邦では、 椎骨動脈解離の頻度が欧米よりも高いとされ、脳梗塞などの虚血性脳血管障害やくも膜下出血を呈し重度の後遺症を残すことがあります。

椎骨動脈解離:片側のうなじが急に痛くなったら要注意

「椎骨動脈解離」は、首の後ろから後頭部に向かう動脈が裂ける疾患で、突発的かつ持続する後頭部やうなじの痛みが初期症状です。放置すると「くも膜下出血」や「脳梗塞」を引き起こす可能性があります。

従来は脳卒中を発症してから診断されることが多かったですが、MRI検査を迅速に行うことで軽症のうちに発見し、適切な治療や経過観察が可能になりました。特に、突然の後頭部やうなじの痛みが続く場合は、早めの受診が重要です。

動脈解離では,血管壁内の血腫(intramural hematoma)が T1 強調画像で明瞭な高信号として観察されます。この所見は動脈解離に特徴的なものであり、他の血管病変との鑑別に有用です。

この T1 高信号は解離発症から 3 日前後で観察されるようになり、次第に増強し、2~3 カ月の経過で信号は低下し等信号となっていきます。

日本臨牀 82(増刊号4): 249-254, 2024.より引用

MRA と basi-parallel anatomical scanning(BPAS)の比較


MRA では血流を評価しているため、解離病変の内腔狭窄を評価可能です(MRAは血管の内腔をみている)。また、椎骨動脈から脳底動脈の解離病変では、動脈壁内血腫による動脈外径の拡張を BPAS で観察できます。

ペインクリニック 44(12): 1117-1124, 2023.より引用

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投稿者

古田 夏海

群馬県高崎市「ふるた内科脳神経内科クリニック」で脳神経内科・内科の診療を行っています。

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