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パーキンソン症候群とは
パーキンソン病でみられるさまざまな症状(静止時のふるえ・筋肉のかたさ・動きが鈍くなる・体のバランスがとれないなど)をパーキンソニズムといいます。
そしてパーキンソニズムがみられる病気は、パーキンソン病以外にもあります。
パーキンソン病以外でパーキンソニズムがみられる病気を、パーキンソン症候群と呼びます。
パーキンソン症候群には以下のようなものがあげられます。
血管性パーキンソン症候群
脳血管障害を機転として生じるのが血管性パーキンソン症候群(血管性パーキンソニズム)です。パーキンソニズムの10%前後を占めるとされます。パーキンソン病と見分けるポイントは歩行姿勢です。パーキンソン病の場合は前屈みで小刻みにチョコチョコと歩きますが、血管性パーキンソニズムの場合、足先が外側に向いたがに股で、広いスタンスで歩きます。
両者を鑑別する方法としては頭部MRIを撮影することで見分けることができます。
L-ドパ反応性(抗パーキンソン病薬の治療反応性)はパーキンソン病よりは効きが悪いことが多いですが、有効性を示す報告が複数あります。
薬剤性パーキンソン症候群
抗精神病薬、抗うつ薬、降圧剤、胃薬などが原因となり、薬を服用し始めて3ヶ以内に固縮などのパーキンソニズムが現れます。
ダットスキャン検査では、薬の取り込み低下は起こらないことがわかっています。
正常圧水頭症
髄液(脳脊髄液)の流れが悪くなって、脳室にたまります。そのためMRIを撮影すると、脳室が大きくなっていることが確認できます。
認知機能の低下、歩行障害、尿失禁が代表的な症状で、ふるえは基本的にみられません。歩行障害の特徴は、スタンスが広い歩行で前傾姿勢ではない点があげられます。
進行性核上性麻痺
脳の特定の部位(基底核、脳幹、小脳)の神経細胞が減ることによって起こります。異常な蛋白質(リン酸化タウ蛋白)が細胞に蓄積します。
体のバランスが悪くなって、転びやすくなるのが特徴です。パーキンソン病では初期から転倒することは非常に稀です。病気が進行すると上下方向への目の動きも悪くなるので、余計に転倒しやすくなります。
パーキンソン病と異なり手足の筋固縮は目立たないこともありますが、首(体幹部)の固縮(固さ)が重要です。頚部のジストニアもみられます。
認知症を早期から合併することも多いです。
仮性球麻痺(飲み込みづらい、しゃべりづらい)も多くみられます。
垂直方向の眼球運動障害からはじまり、進行すると全方向に眼球が動かなくなります。
頭部MRIを撮影すると中脳萎縮や第3脳室の拡大がみられることが、パーキンソン病との鑑別に有用です。
大脳皮質基底核変性症
パーキンソン症状に加え、大脳皮質症状(失語や不随意運動など)が同時に起こる病気です。
二次運動ニューロン徴候はみられません。
体の右側ないしは左側のどちらか一方に症状が強く、片側の手足が動かしづらくなる非対称的症候が特徴です。
頭部MRIを撮影することで、非対称性の大脳萎縮があり、パーキンソン病と区別することができます。
最近では「大脳皮質基底核症候群」の概念で検討されます。大脳皮質基底核変性症は進行性核上性麻痺症状を呈することがあり、認知症を伴う症例ではアルツハイマー病との鑑別が難しいことがあります。
レビー小体型認知症
パーキンソン症状に認知症が伴うのがこの病気です。認知症全体の15-20%を占めます。
認知症の症状が主であったり、初期に幻覚や妄想が目立ったりするときは、レビー小体型認知症を鑑別する必要があります。