不眠症の薬物治療はベンゾジアゼピン系睡眠薬が主であったが・・

ベンゾジアゼピン(BZ)系睡眠薬は、大脳皮質から小脳にかけて広範囲に分布する抑制系GABAA受容体を介した作用機序をもつことが知られています。

しかしながら激しい離脱症状・依存性・筋弛緩や転倒・ふらつき・健忘・せん妄・ 呼吸抑制など副作用が問題となり新規の安全性が高い睡眠薬が求められてきました。

新しい睡眠薬が2010年に登場した

①メラトニン受容体作動薬ラメルテオン(LMT)(ロゼレム®)

②オレキシン(Ox)受容体阻害薬スボレキサント(SXT)(ベルソムラ®)

など新しい機序の登場はGABAA受容体を介さない機序を有する睡眠薬の選択を可能としました。
オレキシン受容体阻害薬はGABAA受容体を介さないため、BZ系睡眠薬に特徴的な筋弛緩、ふらつき、健忘、せん妄などのリスクが低いのが特徴です。

デエビゴはオレキシン受容体に作用している

薬理機序は、デエビゴは従来の睡眠薬であるベンゾジアゼピン系のGABA受容体作動薬ではなく、
オレキシン受容体に作用します。
オレキシン受容体は覚醒-睡眠を調節する受容体で、普段はここを刺激されることで覚醒状態が維持されています。ここを遮断する(オレキシンと競合的に結合します)ことで覚醒を抑制して睡眠に導きます

同じオレキシン受容体に作用する睡眠薬としてベルソムラ®があります。

ベルソムラとの違い

同じオレキシン受容体に作用するベルソムラ®とは、併用禁忌薬がないことや吸湿性がないのが特徴です。一包化ができることで服薬コンプライアンスの向上が期待できます。

デエビゴの薬理

オレキシン受容体はOX1とOX2と2つがあって、Ki値(阻害定数)はそれぞれ8.1と0.48とOX2受容体拮抗作用のほうが強く、覚醒・睡眠にかかわりが深いOX2受容体への親和性が高くなっています。
薬物動態はTMAX:1.25時間、T1/2:50.6時間となっていて、内服後1.25時間で最高血中濃度に達して、そこから約50時間かけて血中濃度(作用)が半分になります。なお、T1/2の長さはベルソムラの4倍(ベルソムラのT1/2は約12時間)であり、副作用として傾眠が10.7%で報告されます。
また、効き始めはTMAXの0.3倍が効果の発現し始めるタイミングと言われています。デエビゴの場合はTMAX:1.25時間=75分なので、75×0.3=22.5となり、効果発現は内服してから22分30秒くらいからとなります。

デエビゴの実際の処方

用法用量は「1日1回5mgを就寝直前に経口投与。最大でも1日1回10mgを超えないこと」となっています。既存のベルソムラは、高齢者には用量を減量して投与する必要がありますが、デエビゴは高齢者でも同用量の投与となっています。

また、デエビゴの薬物相互作用について、肝薬物代謝酵素CYP3Aを中程度または強力に阻害する薬剤(イトラコナゾールなど)との併用は、本薬の代謝が阻害され、傾眠などの副作用が増強する可能性があることから、併用する場合には投与量を1日1回2.5mgとすることとなっていますが、併用自体は可能となっています。これは、CYP3Aを強く阻害する薬剤との併用が禁忌であるベルソムラとの相違点です。

肝機能障害患者に対しては血中濃度が上昇する可能性があるので1日1回5mgを超えないように慎重に投与します。

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