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ワクチンについて(小児は2回接種)

MR(麻疹風疹混合)、麻疹、風疹はいずれも1歳未満の接種では免疫の獲得が十分できないとされ、初回の接種年齢が1歳以降~2歳未満となり1歳になってからの早期の接種が推奨されています。2回目の接種は、小学校入学前の1年間が対象です。いずれも生ワクチンです。

麻疹患者と接触した場合の対応

万が一、麻疹ワクチン非接種者や未感染者が麻疹患者と接触した場合は、72時間以内では緊急ワクチン接種を行います。麻疹ワクチン接種は、自然感染よりも2-3日早く抗体ができ、発症予防ができます。

72時間を過ぎても、接触後6日以内では、ガンマグロブリン(血液製剤)の筋肉注射で発症予防、軽症化が期待できます。

風疹

2018年に大流行しましたが、これは風疹ワクチンが定期接種でなかった世代がいるためです。

40代・50代男性の抗体保有率は75-80%とされ、この層の接種率を上げることが非常に重要と考えられています。

現在、1962年4月2日から1979年4月1日出生の男性に対し風疹抗体検査および抗体価陰性~低値の方への風疹ワクチン接種が無料化されています。

ワクチン接種者からの感染リスクはないと考えられており、妊婦が居る家庭の子供に風疹ワクチン・MRワクチンの接種は推奨されています。

母乳中にワクチン成分は移行されますが、母乳を飲んだ乳児は感染を起こさない(影響はない)と考えられています。ただし、妊娠中の生ワクチン接種は禁忌となります。

妊娠中の女性について

風疹HI抗体価が16倍以下の場合、出産後早期にワクチン接種すべきとされています。
先天性風疹症候群の発症予防のためにも、免疫があるとされる8倍・16倍では不十分とされ、陽性であっても32倍以上なければワクチン接種が推奨されます。妊娠を希望される女性は必ずワクチン接種が必要です。ワクチン接種後は二ヶ月避妊をします。

ワクチン接種後に妊娠が判明した場合は、胎児へのリスクの低さより、人工中絶などを考慮する必要はないとされます。パートナーの男性が麻疹・風疹ワクチンを打った場合は、女性の生ワクチン接種の場合と異なり、避妊の必要はないとされます。男性の場合は風疹抗体価8倍未満でワクチンを接種します。

おたふくかぜ

正式病名は「流行性耳下腺炎」であり、予防接種はムンプスワクチンで行います。

接種は1歳以降で1回ないし2回行います。予防効果は1回で80-90%、2回で90%以上とされます。

接種スケジュールはMRワクチン、水痘ワクチンと同時接種されることが多いです。

日本小児科学会では、ムンプスは1回目接種に加え、2回目接種もMRワクチンと同時期での接種を推奨しています。

ムンプスワクチンは1989年~1993年までは麻疹・風疹・ムンプスの3種混合ワクチンでの定期接種が行われていましたが、無菌性髄膜炎の副反応が報告されたことから、現在は任意接種になっています。

ムンプスワクチンの副反応に、おたふくかぜで認める合併症で、例えば髄膜炎・難聴・精巣炎・卵巣炎があります。ただし、発症リスクや重症化リスクはおたふくかぜの自然感染例より低いことが報告されています。

合併症予防、不妊症予防のためにも接種が薦められていますが、現在の接種率は30-40%程度とされています。

投稿者

古田 夏海

群馬県高崎市「ふるた内科脳神経内科クリニック」で脳神経内科・内科の診療を行っています。

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