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ドナネマブ(商品名ケサンラ)

ドナネマブはアルツハイマー病による軽度認知障害および軽度認知症に対する新たな治療薬(ヒト化抗N3pGアミロイドβ(N末端第3残基がピログルタミル化されたアミロイドβ)モノクローナル抗体製剤)です。脳に沈着してしばらく時間の経ち「ピログルタミル化」というアミロイド斑に選択的に結合、除去します。

AACI試験とは

AACI試験(TRAILBLAZER-ALZ-2試験)は「早期アルツハイマー病(AD)」を有する被験者(全体・日本人集団も含まれる)におけるドナネマブの臨床的有効性を評価した試験です。

対象

アミロイド及びタウ病理が確認された早期ADを対象とした多施設共同・無作為化・二重盲検プラセボ対照試験です。被験者はドナネマブ群(全体n=860 日本人n=45)又はプラセボ群(全体n=876 日本人n=43)に割り付けられ、4週毎に72週間の薬剤投与(静脈内投与)を受けています。

①タウPETもみている ②Aβが除去されるとプラセボに移行 しています

評価項目

主要評価項目はintegrated AD Rating Scale(iADRS)のベースラインから76週日までの変化量であり、タウ蓄積量が軽度~高度及びタウ蓄積量が軽度~中等度の集団を対象としています。

バイオマーカーについては、アミロイド蓄積(Centiloids:CL)及び血漿P-tau 217を評価しています。

結果

76週目のiADRSでのプラセボ群との平均変化量の差は、全体及び日本人集団で2.92(22.3%の進行抑制,P<0.01)及び4.43(38.8%の進行抑制)であり、タウ蓄積が軽度~中等度の被験者集団においては、全体及び日本人集団では3.25(35.1%の進行抑制,P<0.01)及び3.99(40.2%の進行抑制)でした。

また、軽症群ほど効果が高いことがわかります

24週、52週、及び76週時でのアミロイドクリアランス(<24.1CL)はドナマブ治療を受けた全体集団及び日本人集団で29.7%、66.1%、76.4%及び46.5%、71.8%、83.3%で達成されました。

全体の2/3が1年でAβが除去されています

血漿P-tau 217は76週時点で、ドナネマブ治療を受けた全体集団及び日本人集団で同様にベースラインからの減少が認められました。

日本人集団におけるドナネマブの有効性及びバイオマーカーの変化は全体集団と概ね同様でした。

副作用であるアミロイド関連画像異常(ARIA)は多くは無症候性でMRIを撮って気づかれます。

重篤例ARIAは12週までに出てくることが知られています

APOE4ホモ接合体ではARIAリスク高いがノンキャリアでも起こります

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投稿者

古田 夏海

群馬県高崎市「ふるた内科脳神経内科クリニック」で脳神経内科・内科の診療を行っています。

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