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ヒト化抗アミロイドβモノクローナル抗体「ケサンラ®点滴静注液」は、軽度認知障害または軽度アルツハイマー病の進行抑制を目的とした新しい治療薬です。市販直後調査(2024年11月〜2025年2月)の中間報告に基づき、副作用とその頻度、安全管理のポイントについて以下にまとめます。

副作用の全体像について

集計期間:2024年11月26日 ~ 2025年2月25日
副作用報告件数:20例・26件

副作用分類重篤非重篤合計
注入反応(発熱・紅斑など)055
アナフィラキシー反応123
呼吸困難101
頭痛022
紅斑・そう痒症など皮膚症状044
脳梗塞101
ARIA-E(浮腫など)044
ARIA-H(微小出血など)022
総計32326


重篤な副作用:3例
→ そのうちアナフィラキシー反応を疑わせる反応 2例(ただし血圧低下などはなし)、脳梗塞 1例でした。

🔹 注入反応や皮膚症状は軽微で一過性

実際の重篤症例(代表例)

70代女性/アルツハイマー型認知症

ケサンラ700mg点滴開始後5分以内にアナフィラキシー様症状(紅潮、胸部不快感、呼吸促迫)を発症。

メチルプレドニゾロンと生食で加療、その後回復し再発なし

エピネフリン投与や酸素投与は不要であった

➡ 投与中の早期対応で重篤化を防止できている

ARIA(アミロイド関連画像異常)について


市販直後調査でのARIA-E(浮腫など)報告:4例(いずれも非重篤、3例は無症候性)

    ARIA-H(微小出血など)報告:2例(いずれも非重篤)

    ➡ MRIによる事前スクリーニングとモニタリングでリスク管理可能

    投与時の注意点としては、投与中または終了後30分以内にinjection reactionが多く発現(※アナフィラキシーを含む)→投与後30分間は院内で観察が推奨されます。

      安全性のまとめ

      ケサンラは、生物学的製剤としてアナフィラキシーなど過敏反応への注意が必要ですが、重篤副作用の頻度は非常に低く、ほとんどが軽度かつ一過性でした。

        📚 情報源
        日本イーライリリー株式会社「ケサンラ® 市販直後調査中間報告」2025年4月作成

        厚生労働省「重篤副作用疾患別対応マニュアル:アナフィラキシー(令和元年改訂)」

        FDA Guidance for Immunogenicity Assessment

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        投稿者

        古田 夏海

        群馬県高崎市「ふるた内科脳神経内科クリニック」で脳神経内科・内科の診療を行っています。

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