ビタミンB12欠乏で認知症を起こす

ビタミンB12はDNA合成に働きます。ビタミンB12欠乏により物忘れ(認知症)、歩行障害(亜急性連合性脊髄変性症)、しびれ(末梢神経障害)などの神経症状を発症して神経内科を受診することがあります。

ビタミンB12欠乏の最も頻度の高い原因はビタミンB12の吸収不良によるものです。
通常の食事摂取でビタミンB12欠乏をきたすことは(極端な菜食主義者を除き)ほぼ皆無ですが、胃全摘患者の100%、幽門側胃切除患者の15.7%に4年以内にビタミンB12欠乏がみられたとの報告があります。

参考:悪性貧血

悪性貧血(巨赤芽球性貧血の一種)では胃壁細胞抗体と内因子抗体ができることによって、ビタミンB12吸収に必要な内因子の産生が不十分となります。また、高齢者の萎縮性胃炎や吸収不良症候群でも吸収障害が生じることがあります。
(生理学の復習;ビタミンB12は胃壁細胞から分泌される内因子と結合し回腸末端から吸収されます。葉酸は小腸上部から吸収。ビタミンB12または葉酸のいずれかが欠乏すると、赤血球のDNA合成障害が生じます。そのため核が未熟で細胞質が成熟した巨赤芽球が出現します。)
巨赤芽球は骨髄内で破壊され無効造血となり、血液検査でLDHが上昇します。末梢血で汎血球減少・好中球の過分葉などがみられます。
慢性アルコール中毒の患者さんは葉酸が欠乏します。

認知症や亜急性連合性脊髄変性症は葉酸欠乏では起こらない(ビタミンB12欠乏で起こる)とされています。

治療はビタミンB12補充

ビタミンB12欠乏は適切に診断されなければ、約6%の患者に神経学的な後遺症が残るとされています。診断と治療が6カ月遅れると、障害は不可逆的になりやすいことも知られています。
ビタミンB12欠乏は必ずしも大球性貧血を伴わず、ビタミンB12を測定しなければ診断できません。また、ビタミンB12が正常下限でも症状を呈することがあるため、このような場合はホモシステインの上昇などがないかを採血で確認する必要があります(ビタミンB12はホモシステイン代謝の補酵素であるため、ビタミンB12欠乏で血中濃度が上昇します)。

胃切除術後の患者に対するビタミンB12の補充は、筋注が広く行われてきましたが、内服でも十分
に吸収されうる
ことが示唆されています。

どこでビタミンB12欠乏を疑うか?

①血液検査で大球性貧血

血液検査でMCV(赤血球一個あたりの平均用量)が100fl以上の大球性貧血を呈しているとき疑います。

(アルコール依存症・肝疾患・甲状腺機能低下症でも大球性貧血を呈します。)
(上述した巨赤芽球性貧血でも大球性貧血をきたします。葉酸・ビタミンB12を測定します。)

②診察で舌炎(Hunter舌炎

ビタミンB12欠乏により舌乳頭が萎縮して舌がつるつるになります。

画像

https://t.co/qI8smWscAi?amp=1より引用

参考文献

ビタミンと認知機能. 里見公義, 中島健二.
HORMONE FRONTIER IN GYNECOLOGY 19(3): 243-247, 2012.

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