筋強直性ジストロフィーとは

筋強直性ジストロフィー(myotonic dystrophy:DM)は成人期の最も頻度の高い筋ジストロフィー症で、進行性の筋力低下以外にも様々な全身の臓器を侵す常染色体優性遺伝形式の筋疾患です。

筋強直性ジストロフィーの症状

側頭筋・胸鎖乳突筋四肢遠位優位筋力低下や萎縮を呈します。
(胸鎖乳突筋の萎縮はswan neckと呼ばれます。側頭筋の萎縮により西洋斧様の顔貌を呈します。前頭部禿頭(脱毛)を呈する事もあります。)

手を強く握ったり、診察用ハンマーで母指球を叩打したときに、ミオトニアという筋強直現象が生じます。母指球は強く叩くと内に動きます。舌を舌圧子で挟んで叩くとクローバー状になります。
手の開排制限は親指に出やすく、親指を内に入れて(MP関節まで曲げる)手を開かせると観察しやすいです。ミオトニアはClチャンネルの異常で起こります。

心病変(心伝導障害(不整脈)、心筋障害)、中枢神経症状(認知症状、性格変化、傾眠)、眼症状(白内障、網膜変性症)、内分泌異常(耐糖能障害(糖尿病)、脂質異常症)などを示します。血液検査ではγ-GTPが上昇することもあります。
軽症例では筋症状が目立たず、白内障・耐糖能異常のみを示すことがあります。

検査所見

針筋電図の際に刺入に伴って陽性鋭波や陰性棘波が連続的に出現し、高頻度放電・振幅および放電頻度の漸減・漸増現象を示す特徴的な電位(ミオトニー電位 myotonic discharge)です。ミオトニー電位では「急降下爆撃音(dive-bomb sound)」とよばれる特徴的な音を呈します。

原因遺伝子

DMはタイプ1(DM1)とタイプ2(DM2)の2型が存在します。本邦ではDM1がほとんどで、人口
10万人当たり7人程度とされます。DM2は第3染色体長腕に遺伝子座をもち、本邦での報告は少ないです。
DM1は第19染色体のミオトニンプロテインキナーゼ(DMPK)遺伝子の3’非翻訳領域におけるトリヌクレオチド(CTG)反復配列の異常な伸長が原因です。
DM2はCCTGリピート伸長が原因で発症します。

医学のあゆみ 267(11/12): 830-835, 2018より引用

CTGリピートの反復回数は35回以下が正常、50回以上が異常とされ(9リピートが最多)、先天型では数千回以上と非常に増加しています。反復配列が異常に伸長したmRNAが他のmRNAのスプライシングに影響を及ぼすことで様々な全身症状を呈します。

医学のあゆみ 267(11/12): 830-835, 2018より引用

伸長リピート由来の転写産物が、核内でRNA fociを形成し、RNA結合蛋白と複合体を形成することでターゲット遺伝子のミススプライシングを生じます。

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